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2016年2月

2016年2月24日 (水)

「西欧政治思想史」「西欧政治思想史II」の試験について(講評)

「西欧政治思想史」および「西欧政治思想史 II」については、1月に学年末・期末試験が、そして今週その追再試が終了しましたので、試験について簡単に講評することとします。


【答案内容について】

今回の試験ではトクヴィルの政治思想と彼が説いた「多数者の専制(暴政)」について出題しました。これに対して、多くの受講者はWikipediaやYahoo! 知恵袋、その他のネット上の記事を組み合わせて答案をまとめていました。
定期試験の受験上の注意として、今回私はネット上の情報を使用することは禁止していなかったため、これらを使うこと自体を問題にはしません。
私が懸念するのは、皆さんがネット上の情報を“うのみ”にしていることです。

たとえば、多くの方が引用されていたWikipedia上のトクヴィルの記事ですが、そこには「彼は大衆世論の腐敗・混乱に伴う社会の混乱を解決するには宗教者や学識者、長老政治家などいわゆる「知識人」の存在が重要であると考えており・・・」という記載があります。
確かに、トクヴィルはデモクラシーが不適切な形で発展していくことに対して警鐘を鳴らしています。しかし、彼はデモクラシーの問題点をデモクラシーを徹底させることで解決することを目指しました。具体的には、人々が地方自治などに参加して、自らの政治に関する知識や経験、公共の事柄に対する意識を養うことによって、デモクラシーが健全に発展していくことを彼は望みました。
また、トクヴィルが“宗教”を重視したことは事実ですが、“宗教者”を評価したというのは不正確です。

これ以外にも、あるサイトに記載されていた「多数者の名における少数者の支配が合理化,正当化される」という表現を借りて、答案をまとめた受講者も多く存在しました。
トクヴィルはデモクラシーにおいては多数者の影響力が強大化し、それによって少数者の権利や精神的自由が侵害されることを危険視しているわけですから、これは誤りです。

他にもネット上の情報をそのまま答案に書いた例が散見されました。シラバスで紹介した参考文献を1冊でも目を通していれば、このような間違いは決しておかさなかったはずです。
今回、受験された学生の中には思っていたよりも成績が悪かったという人もいるかと思いますが、そのような人の多くはネット上の不正確な記事を利用して答案をまとめた方の可能性があります。

よく言われることですが、ネット上の情報は必ずしも正確ではありません。しかしながら、これからを生きていく皆さんにネットは不可欠のものでもあります。ですから、皆さんにはネットに関するリテラシーを養う必要があります。
しかしながら、手っ取り早く情報の正確性を判断したいというなら、「何を根拠として書かれた記事なのか」ということだけは確認して欲しいと思います。具体的には、出典がきちんと明示されているかどうかを確認してください。 これだけでその記事の正しさを完璧に判断することはできませんが、最低限この条件が満たされていなければ信用することは控えた方が無難です。


【追再試について】

もう1点、今週実施した追再試の際、「学年末・期末試験と問題が違う」という意見が受験者から寄せられた点について説明します。
実際、私は、追再試で1月の定期試験と異なる問題を出しました。それは公平性を確保するためです。
もし1月の試験と追再試が同じ問題ということになれば、当然ながら準備期間も長く、同じ問題で2回受験する追再試受験者が有利になってしまいます。それでは1月の試験を受験した人、また1月の試験で落第したが、追再試を受けることができなかった人が不公平を被ることになります。

また、「追再試でも問題を事前に説明してくれなくては困る」という意見も複数寄せられましたが、本来定期試験は授業で講義した個所全部が試験範囲です。1月の試験については複数回にわたって事前に説明を行いましたが、これはあくまでも「サービス」です。ですから、先生方の中には試験に関して一切事前に説明をされない方もいます。
私としては今後も事前に試験に関して情報を提供するつもりではありますが、上記の点については了解してもらいたいと思います。
ただ、今回の追再試については一定数の受験者が誤解したことは事実ですので、来年度以降は改善していきたいと考えています。

以上、少々長くなりましたが、定期試験に関する講評とします。 また、今後の参考としますので、講義に関してご意見等があればお寄せください。